13.シカゴの格闘技編 < その4.>


 ホテルに到着し、鏡を見て驚いた。顔がグシャグシャだ。もとから男前とは思っていないが、それにしても酷い。両目の上は青あざでいわゆるBlack Eye状態。ちょっとシャツを脱いでみた。どひゃぁ〜ッてなもんで身体中もあざだらけ。切り傷や擦り傷はない。ひたすら縦長やったり10cm四方の中国全土の地図のようなとにかく青あざだらけ。肩から胸から腹にかけてそれやから、くるっと回って背中を見たがこれまた大変なあざだらけ。ホンマに大変やったわけや。

 さすがに疲れていたのでシャワーを浴びるなりぐっすりと寝た。身体中が痛かったがぐっすり眠れた。午後1時頃に目が覚めて、腹が減ってきた。そう言えば、ホテルの近くに安そうな日本食屋があった。そこで軽くメシ食おう!と思い立って表に出た。カッコ悪いからサングラスで目の周りを隠し、アメリカ人にも成りすまして流暢な(!?)黒人風英語でずんぐりむっくりの日本人かアメリカ人か分らんような若い兄ちゃんの店員にBeef Bowlかなんか丼もんを頼んで、こっそり食べていた。すると他の日本人客の接客をしていたさっきの兄ちゃんが大阪弁でしゃべっとる。妙に親近感が沸いて話しかけてみた。

 「大阪の人かいな?」「えっ!? お客さん日本人ですか?どないしましたんその顔は?」「いやいやちょっと昨日の晩、暴漢に遭ってなぁ」「どこら辺で?」「Michigan Ave.のミナミの方や」「何でそんな危ないとこ行きましたん?」「兄ちゃんに言うても分からんやろうけどブルース好きでLouis Myersさんっちゅう、ちょっとしたMusicianと飲んでたんや」「えっ?Louisさん。ボク一緒にやってますよ。ボクはハーモニカですねんけど」

 ってな会話があった訳。なんじゃいこいつは?こんなところでなんでLouisさんを知ってる奴と会うんや!何という出会いや・・・。ということで、何を隠そうこの日本食屋の店員がワビ助だったのだ。すごい出会いの仕方があるもんやとつくづく思う。それ以来、アメリカでは彼とよく遊んだ。NYCにも来てくれたし、ブルースフェスティバルでも待ち合わせて一緒にブルースを聴きまくった。シカゴ出張のついでにアパートにも押しかけて同室の友達等とちょっとGigって遊んだりもした。そうこうしているうちに数年後ボクは日本に帰国して、ちょいちょい連絡は取り合っていたが、彼の電話番号が入ったPDAがつぶれて連絡がつかなくなり、どうしようもなく諦めかけていた。

 彼と再会できたのは、大阪で活躍しているHowlin'ユウコというけったいな芸名の女性ブルースピアニストのお陰である。Webをブルースで検索していたら引っ掛かった彼女のWebsiteにワビ助のURLがリンクで紹介されていたのだ。それで連絡先が分り、メールを打ったら返事が来たと言う次第。ワビ助はその後も粘り腰で頑張り、全米をブルースツアーで回り、ヨーロッパツアーもしたりして、CDも出していた。外国人初の正真正銘のブルースマンってアメリカのブルース協会に認定されたらしい。ようやるわホンマ。結婚しよったので一度日本に凱旋帰国、大阪で会うことも出来たし、彼のステージ終了後にほとんど誰も居なくなった客席で飲み明かし、アコースティックでRobert Johnsonなどをシカゴのアパートの一室でやったようにGigして懐かしがった。最高にFunkyで裏表のない純粋なオトコだ。これからも本当に大切に付き合いたい親友の1人である。

 

次の新しいお話。相当飛びますが、何故かサンホゼ!

 


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